【情報商材被害について】弁護士法人若井綜合法律事務所の認定司法書士石田智嗣先生にお話を伺いました。

情報商材詐欺について、詐欺被害対策に注力されている認定司法書士石田 智嗣先生にお話を伺いました。
プロのキックボクサーから司法書士に転身し、闘う司法書士として情報商材詐欺にも積極的に取り組んでおられる先生です。

・なぜ情報商材詐欺が増えているのか。
・相談先として消費者センター、警察、弁護士どれがふさわしいか
・弁護士・司法書士に依頼するときのチェックポイント
・実際の解決事例
・返金される可能性、返金までの時間
・被害に遭わないための心構え

など、みなさんの気になる疑問点について丁寧に解説していただきました。
この記事をご一読いただき、被害の防止と解決にお役に立てれば幸いです。

インタビュー担当:玉上 信明(たまがみ のぶあき)
(社会保険労務士・健康経営エキスパートアドバイザー)

弁護士法人若井綜合法律事務所
認定司法書士 石田智嗣プロフィール

所属弁護士会 東京司法書士会
豊島支部所属
登録番号 第5135号
出身 成城大学経済学部経営学科
経歴 平成 6年:キックボクシングプロデビュー。
平成 9年:NJKF日本ランキング6位となる
平成11年:NJKF日本チャンピオン決定トーナメントで敗退。
平成12年:キックボクシング引退 司法書士試験を始める。
平成20年:司法書士試験合格
平成21年:大手弁護士事務所勤務
同年:簡裁訴訟代理等能力認定考査合格
平成30年:大手弁護士法人退所
同年:弁護士法人若井綜合法律事務所にて独立開業。
石田先生のホームページ:闘う司法書士

 

1.情報商材の動向について

最近の情報業界の動向についていかがお考えでしょうか。
司法書士
私は司法書士を開業してすぐの時期に、出会い系サイト詐欺事件を解決することができました。契約書などを見て相手の女性に申し入れ、全額返していただきました。
開業間もない時で、クライアントの男性からとても喜んでいただきました。これが嬉しくてこの問題に取り組んできています。

最近、自分が体感することとして、コロナの影響があるのではないでしょうか。
皆さんがパソコンに向かう時間が長く、Twitter やYouTube など見ているうちに詐欺に引っ掛かることがあるようです。

コロナ不況のもと、将来への不安から、副業に手を出そうとしてだまされるといったことです。スマホなどで簡単にもうかる、と思ってしまうようです。
また、SNS などで簡単に知り合える機会が増えたことが、逆に、相手に心を許し、だまされるきっかけとなることも多いのではないでしょうか。
SNSで知り合った人が好い人とは限りません。リアルな出会いの場でないだけに、相手の人となりをちゃんと判断するのが難しいのではないでしょうか。

2.情報商材の詐欺が多い理由

なぜ情報商材の被害が多いのでしょうか?
司法書士
SNS などでやり取りしているうちに親しくなるようですね。
Twitterなどのフォロワーが増えるのはとても嬉しくなるものです。
私自身前職がキックボクサーですが、同じキックボクサー仲間や司法書士、行政書士の仲間、この道を目指す受験生などとのつながりはとても嬉しいものです。
私自分は詐欺の仕事をしているから、怪しい人、怪しい話は、ある程度はわかるのですが、社会経験が長くない若い人などは、相手を見極めるのがなかなか難しいのではないでしょうか。

3.情報商材としてどのような商材が多いか?勧誘の手口は?

情報商材にはどのような商材が多いのでしょうか?勧誘の手口はどのようなものでしょう?
司法書士
アフィリエイト詐欺等が見られるようです。

すなわちアフィリエイト広告ですぐ30万50万円もうかる、といった話です。
スマホのフォロワーを増やすだけで儲かる、等と持ちかけられるようです。
あるいは、競馬投資で、このソフトを購入すれば勝ち馬を当ててくれるなどといった話もあるようです。現実にあるはずはないのですが、信じてしまうようです。
競馬のほか、競艇、競輪詐欺、などもあります。

紹介サイトの中で、「このサイトに入ると儲かります。」「このサイトよく当たりますよ」などと言われるのです。

はじめは無料、しかし「有料になれば、もっと良い情報が得られますよ。」という風に有料サイトに誘導していくのです。
情報商材ではないかもしれないが、例えば占いサイトではこんな手口で誘ってきます。「あなたには宝くじの運がついている。もう少しお金を払ってポイントを貯めれば、占いの先を読める」という風に仕向けのです。

占いの結果が途中まで表示され、その先を読むには、お金が必要、と言われるのです。
もう少し読みたい、もう少し読みたいと考えてお金を払う事になってしまいます。
ともかく、だますのがうまいので、案外簡単にだまされてしまうのです。
サクラサイトでいえば、サクラの男性、女性と会うためにはポイントを購入しなさい、という風にうまく誘導していくのです。

クレジットの限度額は50万円60万円程度でしょうか。ひとりで2枚3枚持っている方が多いと思いますが、それを限度いっぱい借りさせるのです。
すぐ儲かる、すぐ取り返せる、と思って、無理して借りてしまうのでしょう。
さらには消費者金融から借りるなど、無理を重ねていくのです。

4.情報商材詐欺被害にあたり、消費者センターと弁護士・司法書士の対応の違いとは

情報商材の被害が遭ったら、まず消費者センターに相談したほうがいいということを耳にします。弁護士・司法書士など専門士業者の先生に相談するのと消費者センターに相談する明確な違いとかありますでしょうか。
司法書士
センターでも親切な職員ならその場で電話して解決することもあります。

もっとも相手とつながらないことが多いのです。
センター職員でも解決に当たって合意書の書き方も教えてくれる人もいます。それで解決することも確かにあります。

明らかに違法、明らかに詐欺と分かったならばセンターでも対応してくれます。
しかし、情報商材など、小さな字で「自己責任」といった趣旨のことが記載されており、必ずしもブラックとは言えないのです。センター職員では対応に躊躇するでしょう。

またセンター職員は勤務時間しか対応しません。
これに対して、弁護士司法書士なら時間外でも休日でも対応します。

私の場合は、消費者契約法や特定商取引法などを学んでいます。情報商材の相手方に、その知識も示しながら「違法なのではないですか、消費者契約法、景表法違反ではないですか」などと話をしていきます。それで、かなりの場合、相手方が返してくれることがあります。

情報商材商材を売っている人がすべてあやしいとまでは言えませんが、ちょっと黒に近いのではないか思われる相手ならば、交渉の余地があります。
相手も後ろめたいという気持ちがあるのでしょう。こちらから、相手に違法の疑いがあるのではないかと話をしていくと、以外に簡単に返金してくれる場合もあります。

相手が「これはまずい」と思えば回収につながるのですね。

5.情報商材詐欺被害で警察に相談することについて

購入者が情報商材被害に遭い、警察に相談して被害届を出すのはいかがでしょうか?
司法書士
出すのはご自由ですが、被害届を受理してくれるのでしょうか。
オレオレ詐欺などの犯罪行為ならともかく、情報商材なら、明白な犯罪とは言いにくいのです。
購入するのはお客様の自己責任ですよ、と示す趣旨の記載があります。小さな字で読み取りにくいのですが、記載はされているのです。
そのように書かれている以上、購入した方がご自分の判断でリスクを取って納得づくで購入したと言われても仕方がない、という面があるのです。

6.情報商材詐欺被害に遭った場合に返金を求めるには?専門の先生へのご相談が適切ですか?

情報商材被害にあったときに、返金を求めるにはどうすればいいのでしょうか?
司法書士
弁護士、司法書士などで消費者問題を専門に扱っている先生に相談することです。
弁護士が引き受けてくれないような少額案件でも、司法書士ならやってくれるかもしれないのです。そのようにと考えてもらえるとありがたいですね。

7.弁護士・司法書士に依頼した場合、着手金はどうなるのか?

弁護士・司法書士の先生に依頼する場合、よく着手金がかかるともお聞きますが、貴事務所ではどのような流れで依頼者の相談を受けられるのでしょうか。
司法書士
私は着手金は高くても3万円です。お金のない人から着手金5万10万円などは、とてもいただけません。
お金のない依頼者からはお金をもらわず、解決してからいただくようにしています。その場合の報酬は、大体33%から35%くらいです。

8.弁護士法人若井綜合法律事務所での解決事例

貴事務所の情報商材被害の解決事例などを何件かお伺いしたいのですがいかがでしょうか?(被害金、どのような商材だったかなど)
司法書士
こちらの参考記事をご覧ください(中國新聞2020年9月19日)。

「パソコンにうその警告 「サポート詐欺」被害後絶たず」
「パソコン画面にウイルス感染の警告を出し、対策ソフトの名目などで金銭をだまし取る「サポート詐欺」の被害が後を絶たない。」という趣旨です。

この記事が掲載されたのは2020年の9月ですが、この報道の半年くらい前に相手方からお金を取り戻したケースがあります。
相手は外国人(インド人?)でしたが7,8割のお金を取り戻しました。

SNSで知り合っただけで直接の面識のない相手なら、だまされた方はお金はとても戻ってこないと思ってしまいがちです。
しかし、住所、メール、ラインなど何らか相手を特定できる手掛かりがあれば、交渉をやってみる値打ちはあります。なんとかできることもあるのです。

9.情報商材が返金されるまでどれくらいかかるのか?

販売業者がもし実際返金に応じてくれた場合、だいたいどのくらいの時期感で被害金を取り戻せるのでしょうか?
司法書士
あくまで私の感覚で申し上げるのですが、返金するとなるとパッと返してくれることもあります。意外に早いのです。
相手も後ろめたいのでしょう。

10.情報商材詐欺被害でお困りのあなたへ

最後に情報商材を購入して被害に遭われた方へ一言お願いします。
司法書士
だまされて、もう戻ってこない、とあきらめている人が多いようです。

もちろん、さじ加減は難しいし、すべて取り戻せるというわけではありません。
例えば、相手が外国にいる、仮想通貨で払ってしまった、というのでは取り戻しはとても難しいです。

でも、相手の住所が日本とか、なんらかの手がかりがある、あるいは、競馬、競輪等の国内での事件ならば、案外に返ってくることがあります。住所なりline やメールなど手がかりがあれば、それをもとに本人に接触して取り戻せる場合もあります。諦めずに相談してきてください。簡単に解決できる場合もあるのです。

以上は、あくまでだまされた後の取り戻しの方法です。

予防策としては、だまされないためにはうまい話にのらないこと、ということに尽きるでしょう。

執筆者情報

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この記事のインタビュー担当者:玉上 信明(たまがみ のぶあき)・社会保険労務士(東京都社会保険労務士会所属)・登録番号:第27821695号・ 健康経営エキスパートアドバイザー(東京商工会議所認定資格)・ 三井住友信託銀行にて法務・コンプライアンス関係の企画・研修に従事。 2015年10月同社を65歳定年退職後、社会保険労務士として開業

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